第3話から数ヶ月後の話
第4話:ツカサ × “一言”で繋がった夜
(あー……あのバンド、ドラム変わっちゃったんだ)
ツカサはライブハウスの裏側、片付けしながらふとステージに目を向ける。
メンバーはほとんど変わってないのに、音が、まるで別バンドみたいだった。
(最近多いな、ドラムのチェンジ……
骨格みたいなパートだから、ひとり替わるだけでぜんぜん違うサウンドになるんだよなぁ)
(でも、ドラム人口って少ないし……感性も性格も合う人って、ほんと奇跡レベルなんだよねぇ)
(まあ……ワタシがバンド入るとしたら……どんなとこだろ)
(人間関係めんどいのは無理……そしたら1人でスタジオ入ってる方がマシ)
そんなことを、音の余韻が残る空間で考えてた。

「……あの、ツカサさん」
振り返ると、ステージ横の少し暗がりになったところに、
Code:Rippleの3人が立ってた。
(っっっっっっ!!!!!!えっ、えええ!?!?)
(ま、待って、なになになに!?Code:Ripple!?あの以前出てくれた!?マジ!?)
(いや、顔はわかるけど話したことないし、覚えられてるわけないでしょ!?てか今なんで話しかけられてるの!?)
(わたし仕事中だよ!?パーカーにスニーカーだよ!?変な髪になってない!?)
「この前、ここで対バンライブに出演したバンドの……リコです。あの時はありがとうございました。気持ちよく演奏できました。」
「えっと、今、ドラマー探してて……ツカサさんがサウンドチェックで何気なく叩いてたドラムが忘れられなくて…一度あたし達のバンドでも叩いてほしくて、みんなで会いに来ちゃいました。」
(うわあああああ……こ、こういう時どうすればいいんだ……!?)
(でもさ……ちゃんとライブ観終わってから声かけてくれたんだ、すごくない?)
(連絡先も知らなかったってことだよね……わざわざ来てくれたんだ)
「……試しで良ければ」
(言ったーーー!?!?!?!?!?)
(え、まって落ち着けわたし、言ったよね今。なんか知らないけど口が勝手に言ってた!!)
スタジオリハ。
正直、ちょっと構えてた。
上手くやらなきゃ、とか、合わせなきゃ、とか。
でも──
(……音、めちゃくちゃ気持ちいい)
リコの声、モカのフレーズ、ルリのベース。
ぜんぶ、自分の中にすーって入ってくる。

(なんだこれ、楽すぎない?え、怖いレベルで合うんだけど……)
ライブ当日、ステージに立ってすぐにわかった。
(あ、これ、わたし、ずっと叩いてたい)
終演後、楽屋に戻ると、リコがちょっとだけ真剣な顔して近づいてきた。
「……サポートじゃなくて、正式にメンバーになってくれませんか?」
隣にいたモカとルリも、まっすぐに目を見てきた。
(え、わたしでいいの……?マジで……?)
「……うん」
(また言っちゃったああああああ!!!!!)
(もっとこう、感動的なセリフとかあったでしょ!?!?)
(でも……いいか。うん。めちゃくちゃうれしいから)
そうして、わたしはCode:Rippleのドラマーになった。

クールだと思われてることもあるけど、
内心では毎日爆発キュンキュンしてる。
だって……この子たち、ほんとにすごいんだもん。
わたしの選択基準はいつだって、かっこいいか可愛いか。
両立してる3人を後ろから見守れるこの場所がわたしの居場所だ。
To be continued…
→ 波紋の始まりを、見つめていた人