撮影の日、風は少し冷たくて、でも光だけはやさしくて。
桜はどの瞬間も儚くて、でも確かに咲いてて。
あのとき、4人はそれぞれの春を鳴らしていました。
カメラのファインダー越しに、わたしは彼女たちの“今”を切り取った。
その場所には、音と静けさと、ちょっとの心の震えがあった気がします。
——その記録です。
ルリ|朝の光、守るように咲く

「桜って、守ってあげたくなるのに、
こっちが守られてるみたいなとき、あるよね。」
撮影の日、誰よりも早く現場に来てたルリ。
誰もいない朝の公園で、ベースを抱えて桜を見上げるその姿は、
春の空気と同じくらい、静かであたたかかった。
モカ|午後の河川敷で音を探す

「チューニングって、
音だけじゃなくて、気持ちも整えてるんだと思う。」
河川敷の土手で、春の音を探すようにギターを調整していたモカ。
静かだけど、確かにあの子の世界が広がってて、
花びらがそっと、足元のペダルに落ちていった。
リコ|夕方、笑顔と歌で咲く

「春ってさ、風がうたってるみたいじゃん?
だから負けないように、こっちも全力で歌うんだよ。」
街角の桜の下、マイクに向かって笑顔で声を届けるリコ。
ギターの音と一緒に、舞い上がる花びらが太陽みたいで、
見てたこっちが笑顔にされちゃった。
ツカサ|夜、静けさに響くリズム

「ドラムって、叩くっていうより、
呼吸を打ってる感じに近いかな。」
夜桜の下で、ひとり静かにスネアを叩くツカサ。
音は小さくても、そのリズムはちゃんと届いてて、
花びらも、まるで聴いてるみたいだった。
終わりに|“瞬間”を鳴らす人たちへ
桜はすぐに散るけど、
あの日の音と表情は、今もちゃんとわたしの中に残っています。
楽器って、音だけじゃなくて、その人自身の一部みたい。
春の中でそれを鳴らしてる4人は、
どこまでも素直で、どこまでもまっすぐで、
だからこそ、誰かの心にちゃんと届くんだと思います。
あの場所で、
「音楽っていいな」と、もう一度強く思いました。
——撮影と記録:アヤ(Code:Ripple マネージャー)

(いつものお団子ヘヤーを解いて夜桜とお酒を嗜む大人アヤ Photo by イチ)